男性の頭
面取り
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私たちはまず、頭を丸いと考えることから始めました。頭は四角よりもずっと丸いので、これは理にかなっています。しかし、美術の世界では、ひたすら描かれ続ける丸い顔は飽きられてしまいました。その後、丸みと四角さを兼ね備えることで、多くの巨匠たちが欠いていた迫力を生み出すことができるという事実が発見されました。丸みの効果は、現代の絵描きや批評家が忌み嫌う「ぬるさ」につながってしまいます。写真に写ったものは、たしかに丸みはあるのですが、面が強調されたデッサンや絵画(ペインティング)のような勢いは感じられません。だから、写真で撮った頭は、生命力という点では絵に及ばないのです。私が思うに、丸みと四角さの両極端の間のどこかに理想があるような気がします。四角すぎるデッサンは、まるで木や石を削ったみたいに、被写体よりも硬い絵に見えてしまいます。一方、丸すぎるデッサンは、可愛らしさや滑らかさがありすぎて、表面の下は何の構造もないような、何もかもが磨かれてテカテカしてしまったような絵になります。私は、どちらかといえば、個性がなさすぎるものよりも個性が強すぎる方が好きです。絵描きは、面を四角くし、割れた石のような印象を和らげる程度に柔らかくしてあげることで、極端な描き方をしなくても立体感と生命力を得られることを発見しました。また、平らになった面は、遠目で見れば単なる丸みの効果に同化される傾向があることも分かっています。大きなスクリーンに投影された映像を近くで見ると、その平たさに驚かされると思いますが、一歩下がってみると、その平たさは消え、丸みを帯びているように見えるのです。実は、表面に立体感を与える中間調(ハーフトーン、明るい部分と暗い部分の中間の明るさ)は、思ったよりもずっとデリケートなもので、この事実は絵描きにとってはありがたいことでした。
しかし、当分の間は、私たちが実際に形として感じるままに、面を描いてみましょう。この面を通して、他の方法では得られない真の立体感を理解することができます。本当の構造を保ったまま絵の中で物体を回転できるようになる方が、被写体の回転を全く排除してのっぺりと形がないように見えてしまうよりもいいです。デッサンでは、明暗がはっきりしたものを扱うことが少ないため、絵画よりも面がかなり強調される可能性があることを忘れないでください。私たちは今、明度、素人がよく言う「シェーディング」については触れません。私たちが知りたいのは、どのような面を描けば、基本の形が、顔や頭の大まかな形になるのかということだけです。言い換えれば、私たちは丸みを帯びた形から、(特に男性の頭に当てはまりますが)もっと個性豊かになる、ブロックのような形へと移行したいのです。図9をご覧ください。このページをよく読んで、これらの面を記憶にとどめておくことをオススメします。これらは音楽を作るときのコード(和音)のようなもので、基本的なものであり、ほぼ全ての頭はこれをもとに作図することができます。
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