男性の頭─解剖学が必要な理由

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図30. 顔のシワやこぶの分析

顔の筋肉の大きさ、形、配置を覚えるのは難しいことではありません。それらを覚えてしまえば、後はいつでも顔のシワやこぶがわかるようになります。年齢が上がるほどシワが増えるので、若い人よりも年配の人のほうが、この情報量が増えていきます。また、大きさや形、配置を覚えれば、小ジワと表情ジワの区別をつけられるようになります。小ジワは、筋肉同士の間の皮フの収縮に関係しています。一方で、表情ジワは筋肉同士の境目に関係しています。皮フの小ジワは、気がつくと顔全体に小シワのネットワークを作ってしまうので、滅多に描きません。それよりも重要なのは、筋肉などによる顔のフォルムと、その間にできる大きなシワや表情ジワなのです。頬にある長いシワ、口の周りのシワ、目の上と下のシワなどが該当します。男性の頭では、筋肉がかなり強調されています。がっしりとした目鼻立ちをした顔というのは、主に筋肉と骨格のことを言っているのです。

 眉毛が上がっている表情に限っては、ひたいのシワを気にする必要があります。ほとんどのシワは気にしないで、表情ジワと骨、そして皮フの下にある肉の柔らかいフォルムに集中するのが無難です。シワを消せば消すほど、その絵が好感を持たれることはまず間違いないです。シワは顔の上に存在する黒い線などではなく、ほんの1、2メートルの距離からでないと見えない非常に繊細な影の線であることを忘れないでください。だからこそ、簡単にシワを消してもよくて、シワを消してもなお、描いた顔が似なくなるなんてことが起こらないのです。深いシワは、面取りした頭の面に落ちた影と同じように、ある程度離れたところでもわかります。決して、顔をシワでできた地図やクモの巣のように描いてはなりません。

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