パート1:男性の頭
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まず、共通の目的を決めるところから始めましょう。あなたは趣味で絵を描きたいと思っているかもしれません。デッサンの授業に出席している美大生かもしれません。収入を増やすために、作品をより良いものにしようと努力し、学校を出た、若いプロの絵描きかもしれません。もしかすると、あなたは何年も前に美術を勉強し、今では時間とやる気に余裕が出てきたので、絵を描くことを再開しようとする人かもしれません。あるいは、あなたは競争が激しい商業美術の分野で確固たる地位を築いた人だとして、自分の地位を維持する助けになるもの、そしてもし可能ならば、より高い地位を目指す助けになるものを探しているかもしれません。本書は、全くの初心者の方にも、上級者の方にも、頭を描くスキルについて実践的な知識を提供し、頭のせいで自分の作品をうまく表現できないという最もイライラする瞬間に遭遇してしまったときの手助けになることでしょう。
本物の努力の裏には、それ相応のきっかけがあるはずです。なぜ頭を描きたいのか、なぜうまく描きたいのか、正直に自分に聞いてみてください。それは個人的な達成感を得るためですか? 他のことから時間を割くほどの意味がこれにはあるのですか? いつか自分の作品を売って、稼ぎ口にしたいのですか? 肖像画や、カレンダー用の女の子の頭、雑誌の挿絵、広告の人物などを描きたいのですか? 作品を売るために、もっと上手く頭を描けるようになりたいのですか? 絵を描くことは、緊張をほぐし、心配事やその他の問題を忘れさせるような、リラックスする手段の一つですか? もしそれらをしっかり考えられていれば、落胆、失望、幻滅、あるいは失敗したと思っていても、それを耐えて努力を続ける助けになるでしょうから、この基本的な動機を静かに、徹底的に探してみてください。
もうひとつ、提案したいことがあります。どんなきっかけであれ、短気になってはいけないということです。短気は、本当の能力を発揮する上で、おそらく何よりも大きな障害となります。目標へ向かう道のりの途中、あちこちに横たわる障害を乗り越えていくことが、うまくやるということだと私は思います。スキルとは、障害に打ち勝つ能力であり、やりたいことについての知識が足りていないことが、最初に立ちふさがる障害なのです。それは、どんなことでも同じです。スキルとは、何度も何度も挑戦し、学んだそばから能力を発揮し、自らの知識を証明した結果なのです。失敗を気に病まず、やり直すことに慣れていきましょう。障害はどんな努力にもつきものだと思えば、乗り越えられないものでも、打ちのめされるものでもなくなるはずです。
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