男性の頭
解剖学が必要な理由
(なぜ頭を描くのに解剖学が必要か)
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頭の解剖学や筋肉のはたらきについて、しっかりとした知識を持っている絵描きはごくわずかだと思われます。もし、顔が無表情であれば、このような知識はほんの少し持っているだけで、何とかなるかもしれません。だから、写真に頼ればいいという議論になるわけです。正直なところ、多くの絵描きがそうしています。私の意見としては、解剖学に必要な原理は2、3回の短い時間、例えば一晩の勉強を3回すれば身につきます。わずかな努力で、自分にとって常に価値のあるものを学ぶことができるのですから、そこに時間を割いてみてはいかがでしょうか。
すべての表情は、皮フの中に埋まっているごく少数の筋肉に完全に依存しています。その筋肉がどこにあり、どのような働きをしているかを知ることが、当て推量で描くことと知識に基づいて描くことの違いとなります。表情には説得力が必要であり、今取り扱っている事実を知っていれば説得力をもたせるのは簡単です。
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