赤ちゃんの頭
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図51. 赤ちゃんの頭の比率─1年目
赤ちゃんの頭蓋骨は、生まれた瞬間から1〜2年のあいだに目まぐるしく変化していきます。乳児期に頭蓋骨の形が決まります。はじめの形は、お腹の中にいるときの圧力と、頭の骨の硬さによって決まっています。生まれたあとで、脳が成長したり、お腹から出やすくするために穴が空いた頭蓋の頂上の柔らかい部分(※大泉門)が閉じたりするなど、骨は置かれた環境に適応する傾向があります。人種的な頭蓋骨のタイプは遺伝しますが、赤ちゃん一人一人の頭のタイプは単に環境が原因となっていることがあるのです。
大人と比べると、赤ちゃんの頭蓋は顔の大きさに対してかなり大きいです。眉までの顔の面積は、頭全体の表面積の約4分の1ほどです。そのため、目は頭の半分の高さより下に来ます。赤ちゃんの顔を描くのに最も便利な方法は、四分割点に当てはめて描くことです。鼻、口角、あごは、この点にかなり近い位置にあります。
赤ちゃんの頭が成長するにつれて、頭蓋の大きさにくらべて顔が長くなってくるため、目や眉が頭の上の方にいく効果があらわれます。しかし実際には、下あごの発達によって下の方に行っており、鼻と上あごも長くなります。それにより、大人でも中高生でも、目は頭の横半分線(※頭の高さを半分に分ける横線)上にあるのです。これはもっとも重要なことです。なぜなら、横半分線に対する目の位置取りが、子供の年齢をダイレクトに決める方法となるからです。虹彩は赤ちゃんの時に完全に成長しきっており、それ以上大きくなることはありません。そのため、大人の顔では目がもっと小さく見えます。しかし、まぶたはもっと大きく開くようになるので、赤ちゃんのときよりも大人のほうが眼球がよく見えるようになります。
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