男性の頭─解剖学が必要な理由

p. 55
　鼻と耳は、図26に示したとおりです。鼻と耳は、唇と同じように視点や遠近法の影響を受けます。言いかえれば、これらはすべて、見る角度によって、見え方が変わるのです。これらの顔のパーツを描く前に、頭全体の視点を決めておくことが重要だとおわかりいただけたと思います。実物から描くとき、個々の顔のパーツを描いている間に頭が動かないことが最も重要で、なぜなら、頭が動くと絵が完全に崩れてしまうからです。鼻は、頭全体の作図線にしたがっていて、中央線の上になければ、正しい顔には見えません。鼻と耳は一緒に描くことで、その関係が確かなものとなります。耳は正面、横、後ろのそれぞれの視点で、全く異なって見えます。鼻は目や眉のラインと直角になるようにします。眉が傾くと鼻も傾き、さらに言えば、顔にあるものすべてが傾きます。

p. 55