少年少女の頭─小学生

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このセクションでは、小学生、つまり思春期に入るまでの子どもたちをあつかいます。それは、子供たちがいきいきとして、ゆるやかに成長していく時期であり、思春期で成長がほとばしる前の時期です。また、習慣や性格が形成され、それが顔にあらわれはじめる年齢でもあります。エネルギーの行き先は成長だけにはおさまらず、身体活動へ向けてもあふれ出すので、いたずら好きな年齢といえるかもしれません。

 子供の顔だけでなく、それを描いているあなた自身も笑顔で、この時期の子どもを描けるようになることが大切です。広告に登場する子どものほぼ100パーセントは、活発で楽しそうでいるにちがいありません。一方、若者の顔は、落ち着いているときがとくに美しいことがあります。編集者やアートディレクターがもっとこの点を評価してくれたらと、あなたは時々思うことでしょう。少なくとも、感動的な物語には、笑っていない子供が描かれるかもしれません。しかし、広告、特に食品の広告では、子供が商品にひどく喜んでいる姿を見せなければなりません。

 この年頃の子どもは、自分の世界に生きています。親や教師から押し付けられる権威に対して、子供たちの中では小さな反権威革命がしばしば起こっているように思われるのです。まだその年齢では権威というものをよくわかっていないのですが。あなた自身の学生時代を思い出してみてください。どうしてあんなことをしたのかと聞かれて、「権威にうんざりしたから」なんて、当時のあなたは答えられないと思います。大人は、権威の効果がなぜそんなに簡単に効かなくなってしまうのか、理解に苦しむことがありますが、その答えは、権威的すぎるからとしか言いようがありません。

 小学生の時代を学びの時代だと考えていると、多くの学びは実験によって得られるものであり、だれかから教わって得られるものばかりではないということを忘れがちになってしまいます。発明の奇跡はすべて、若い人たちの念入りな調査によって生まれるのです。あなたの息子さんが目覚まし時計を分解したり、ペットの道具を庭の柵のそばで散らかしたりしても、それは自分から行った実験です。もしもこういったことを少しもやらなければ、その子は退屈な子になってしまうでしょう。  

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