男性の頭─面取り
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図12から図16まででは、ちょっとした遊びを考えてみました。まず、基本的なボールと顔面平面にいくつか変更を加えてみましょう。今は、模写しないほうがうまくいくと思います。この本の最初のほうで私が約束しましたように、頭のタイプの実験をしてみましょう。いろいろなタイプの頭を作るために、頭の理想的あるいは平均的な寸法を変えるということができます。図1で顔の中央線を均等に3分割しましたが、これを、不均等にしたり、大げさにしたりしてみてはいかがでしょう。そうすれば、頭蓋と骨格の形状を変化させることができます。表情や性格描写で遊んでみてもよいでしょう。顔のパーツの配置や、ボールや顔面平面という基本的な形にバリエーションを持たせることによって、作り出せるキャラクターは興味深く、時には驚くほどのものが出来上がったりします。どんなタイプに仕上がるかは、仕上がる前ではほとんどわかりません。その一方で、実際にプランを立ててみると、思い通りの仕上がりに近づけることができます。その結果、説得力のある、プロが描いたような頭を描くことができるのです。あごひげ、口ひげ、高い眉、低い眉、細い眉、太い眉、大きい鼻、小さい鼻、出っぱったあご、引っ込んだあご、狭い頭、広い頭、エラの張ったあご、などなど、いろいろ試してみて、心から楽しんでください。漫画に興味があってもなくても、キャラクターを描くのは楽しいし、自分が想像していたよりもうまく描けることに気がつくはずです。どんな頭を描くときでもパースや構造を注意深く見て、できる限り大げさに描きましょう。良い実験のやり方は、描きたいキャラクターのちょっとした説明をあらかじめ書き留めておいて、次に、書いた説明の通りに頭を描いてみることです。次は、キャラクターの説明のアイデアを誰かに頼んでみてください。そういったことをやってみましょう。このような練習をすることで、知識の浅いうちから、イラストレーターになったつもりで制作を始めることができるのです。今は輪郭線で描いた頭に取り組んでください。でも、自分の好きなタイプを描いてみてください。
例えば、次のような説明が考えられます。「ジョンは大柄で、やせて骨張っている。眉毛はぼさぼさで、深くくぼんだ目をしている。頬骨の下にはくぼみがある。鼻は高く、大きいあご。髪のトップは薄いが、耳の周りと後頭部はふさふさしている。目は小さくて黒く、つぶらである。では、今あなたが持っている知識を使って、ジョンを描いてみてください。
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